金沢旅行時に古本屋で見つけた「手紙」。
重い話でなかなか読み進められませんでしたが、やっと読み終わりました。
手紙 (文春文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/4167110113/ref=cm_sw_r_cp_api_zF.GBb2ZHM66W
「差別」という行為について、まず考えさせられました。
犯罪者、世の中からはみ出して生きざるを得なくなった人、組織の中での所謂「出る杭」、障害者、精神的に異常をきたしてしまった人、ボケてしまった老人、、、、、「平均的」な自分たちと違う要素を持った人に対して、平等に接することができるであろうか?
- 障害者には特に優しくしてます。
- お年寄りはなるべく助けるようにしてます。
- あんな風にはならないようにしようと見てしまう。
- 自分に害が及ばないように気をつける。
慈善の感情で接するにしても、腫れ物に触るように避けるにしても、同じ差別になる。
これは人間である以上、無くすことはできないのかもしれないなと考えさせられました。
もう一つ、自分がこの作品のような犯罪者の家族になった場合、どう生きてゆくべきか。
答えはないが、一つ言えるのは覚悟するしかないという事。
ふと「ゴールデンスランバー」の終盤、同じく犯罪者のレッテルを貼られた青柳の両親のことを思い出しました。
犯罪者のレッテルを貼ったまま死んだ息子のせいで生きづらく暮らしている両親。「図太くなったわよ」と強がる母が、整形して実は生き続けている息子から手紙を受け取る。手紙には「痴漢は死ね」の書。そして嬉しくて泣き崩れる母と密かに喜ぶ父。
本作では、徐々に犯罪者の兄から離れていき、最後には自分の妻と娘の事を守るため絶縁を叩きつける選択をした主人公ですが、それでもやはり兄を想って、好きなイマジンすら歌えない。
やはり最後は家族。
重い作品でしたが、深い感銘を受けました。
ありがとうございました。