小説には、
物語の疑問点や腑に落ちないことが最後にちゃんと回収されてスッキリできる作品と、
伏線っぽいものも含めてろくに回収されずにミステリアスに終わってしまうもの、
この二種類があると思ってます。
今回読んだ「そして、バトンは渡された」は、このうちの前者にあたる作品。
途中で疑問のままで放置されたエピソードも、行方がわからなくなった登場人物も、最後にちゃんと回収されて、スッキリと、そしてハッピーに終わりを迎えます。
ミステリアスに終わる作品の代表的なものといえば村上春樹作品。
後日談が猛烈に読みたくなるモヤモヤさは、それはそれで、想像力をかき立てられ、深みがある点が魅力ですが、やはり心を癒されたいときはスッキリハッピーな作品が良いです。
本屋大賞に選ばれる作品は、同じような傾向があるかな〜。
加えてこの作品、文章のリズムもよくどんどん読み進めることができました。実質1日で読み切れるぐらい。
内容について、
多くの「親」に愛され、育てられた主人公の姿を見ていると、励まされるし、親子関係とは?と考えさせられます。
そしてエンディング、ジーンときました。
本作の中で心に残ったフレーズ。
「親っていうのは、自分を犠牲にする覚悟がないと、務まらないんだよ」
まさに、そう。
親子関係に悩む人におすすめの作品です。