江戸時代、浄瑠璃の世界にどっぷりと浸かりきった作者「近松半二」の生涯の物語。
実際の人物をもとに描いたものと言うは読み終わってから知りました。
正直、最初の方の項は、読み進めるのが億劫でした。盛り上がりにかから感じがして。
しかし中盤の「渦」の項に差し掛かったあたりから、読みを止めることができなくなり、最後まで一気読み。
まさに物語の「渦」に、自分が巻き込まれるが如く。面白かった。
浄瑠璃や歌舞伎の作者だけでなく、何かを生み出すことは大きなやり甲斐があると同時に、常に生み出し続けないといけない悲しい定めのもとにある。
その深淵はみてはならぬもの。
のぞきこんではならぬもの。
渦に巻き込まれてしまう。
小説を生み出す作者さんも然り。
作者の大島さんも、そんな自分たちのことを思いながら書き綴ったのかなと思ったりしました。