全体的に不気味なテイストですが、いわゆる何かの心情のメタファーなんだろうなと想像しながら読んでみました。
「レキシントンの幽霊」はアメリカという国の不気味さを感じていた村上春樹の心情が、幽霊という比喩で描かれているんだなあとか。
「氷男」も不気味ですね。結婚は怖い怖い。
中でも「沈黙」は心に残りました。
主人公と、「青木」という何事にも秀でていながら浅薄な性格で計算高い人物とのやり取りの物語です。
世の中の権威という虚像と一定の距離を置く、村上春樹らしい話だなと思いました。
引用
「僕が怖いのは青木のような人間ではありません。青木みたいな人間はどこにでもいますし、それはもうあきらめてます。〜中略〜 でも僕が本当に怖いと思うのは青木のような人間の言いぶんを無批判に受け入れて、そのまま信じてしまう連中です。自分では何も生み出さず、何も理解していないくせに、口当たりの良い、受け入れやすい他人の意見に踊らされて集団で行動する連中です。〜後略」
引用終わり
私は、ニュースなどで報道される内容やそれに対する世論は、一度疑ってかかるようにしています。
最新のニュースの
情報の例だと、シリアで拘束されていた安田というジャーナリストが自分勝手だ、自己責任だという世論があるようですが、本当にそれが真実なんだろうか。それこそがあるべきジャーナリズムなのではないか?そんな人達が居ないと中東の深い情報は得られないのではないか?
中日ドラゴンズに1位指名された根尾くん、野球でもエリート、勉強家で、毎月たくさんの本も読む、インタビューでの受け答えも超高校生級、実家は医者と、完璧無比な高校生だそうですが、実はそういった優秀さはあるけど、それ以外の「遊び」がなく人として面白くないのではないか?とか。まあ読書家という点では私と一緒なので素晴らしい人物なんだと思いますけどね!笑
まあアメリカでも、日本でも、どこでも、
今も、昔も、人は長いものに巻かれるんですかねえ。やれやれ。