「さよなら、愛しい人」
村上春樹が翻訳した
レイモンド・チャンドラーの名作
「さよなら、愛しい人(Farewell,My Lovely)」
を読みました。
レイモンドチャンドラーの作品は
「The Long Goodbye」「Big Sleep」
に引き続き3作品目。
フィリップ・マーロウは、相変わらず頭が切れて、率直で、男くさくて、女性に対してシビアで、へこたれず、強く、そして孤独です。
そこに首を突っ込むの?という点が普通と違ってドキドキの連続で、案の定痛い目に何度も会います。今回は半殺しの上、ヤク漬けにされかかるなど、ちょっと程々にしておきなよと忠告したくなるぐらい。
あと言葉尻がいちいち面倒くさい。相手に食ってかかるし、皮肉っぽいし。
あと、まるで○○のようだと比喩するのは村上春樹が訳しているから?
そのせいもあって、そのうちフィリップ・マーロウが「やれやれ」とか言いそうな雰囲気。
そういや村上春樹作品の主人公もフィリップ・マーロウ的な人が多い気もします。
そういった部分も全部ひっくるめて、フィリップ・マーロウ作品群の最大の魅力だと思います。
登場人物も多彩。
へらじかマロイ、美女たち、警察の方々、クセの強いおばちゃんたち、臆病なスケコマシ、占い師、脱法医者、暗黒街のドン、などなど。皆ビビットに表現されており、頭の中で絵が浮かんでくるようです。
一番印象に残っているのは、のちに無残な姿となるアル中のおばちゃんですかね。お酒とラジオだけが私の心の拠り所、同情したくなる境遇の彼女の印象は深く残ってます。
ストーリーについて、前作Big Sleepでも思ったけど、名推理!と言うのはないです。
フィリップ・マーロウの行動が事件の解決に繋がっていくという流れ。
ストーリーの展開のされ方から、こうなりそうだな、と言う推測はつきますが、後の種明かしで、はあ、なるほどねとなります。
読んでるだけでは、推理できないある種の名探偵コナン的な種明かし。まあ推理小説らしいですけどね。
物語の中では「愛しい人」は死んでしまい、「愛した人」も同じ道を歩んでしまいました。
愛しい人がどうであれ、
愛しい人に何をされようが、
貫く愛というのは素晴らしいものですね。
