100年ライフの生き方

100歳まで生きてポックリ死ぬ。それが目標です。読書の楽しさに感化され、ありとあらゆるジャンルの本を読みまくってます。本屋めぐり、古本屋めぐり、図書館めぐり、が今ハマっていることです。

「舟を編む」

先日、「肌に合わない」として、三浦しをんさんの「舟を編む」がなかなか読み進められないという記事を書きましたが、先程読み終わりました。

osagoto.hatenablog.jp

一気に読み進められなかった理由は後述するとして、作品の感想です。

登場人物について

マジメ君、

松本先生、

荒木さん、

西岡さん、

香具矢さん、

タケおばさん、

岸辺さん、

宮本さん、

バイトのみんな

みんな、良い人だらけ。 辞書作りという大きな目標に向かって、情熱を持って向き合う人々。活力と人への思いやりに溢れてる人々。悪い人は誰も居ない。

個々のキャラクターを活かしたエピソードが描けそうだけど、あえてこの作品の中ではそれをしなかったのは、主人公であるマジメ君が辞書作りに情熱を傾ける姿を中心に据えたかったからでしょうか。

それにしては、物語の視点が、西岡さんに切り替わったり、岸辺さんに切り替わったり。このあたりはちょっと不思議な感じがしました。

登場人物のキャラクター設定が良すぎて、勿体無いな感じた面は多分にあります。スピンオフ作品も出せそうな感じ。

特に香具矢さんは、良いキャラクターだと思うのですが、この作品の中では「マジメ君と結婚した女高倉健」で終わってしまい、あれ?それだけ?って感じです。後半の辞書作りの中で、何か役割を果たすのかなと思いましたが、マジメ君をサポートするぐらいでした。なんだかモッタイナイ!

西岡さん視点のエピソードの部分は、西岡さんの(この作品中では珍しく)影の部分が描かれており、派手な表面とは違った内省的な描写が印象深いです。

岸辺さんについても華やかな雑誌から辞書作りという地味な部署への異動に思い悩む、からの〜取引先男子とデキちゃうあたりの心の変遷は物語にできそうか気もします。

松本先生も、早期に大学を辞めて、以来辞書作り一筋!というのも良いキャラ設定だなと思います。 その松本先生をそのタイミングで亡くならせてしまうのは、ちょっとあざとくないですかね。泣けるけど。。。

物語の展開について

物語の展開としては、 辞書作りにマジメ君が巻き込まれ、香具矢さんに出会いそして恋する、西岡さんが辞書作り部門から異動していってしまうまでの前半と

マジメ君は香具矢さんと結婚しており、岸辺さんが異動してきて、辞書作りが大詰めとなり、松本先生が亡くなり、そしてついに大渡海」が完成するまでの後半に分かれてます。

辞書が、様々な困難を乗り越えて、ついに完成する!!という後半の方が読んでる人の気持ち的にも、文面的にも、盛り上がっていくのですが、読み終わって思うと前半のマジメ君が鬱々してて苛苛する感じが良かったように思います。

あと、ここにもモッタイナイポイントが。

どうしていきなり14年とんでしまうのか。結婚したり、タケおばさんが亡くなったり、へんな辞書作りしたりと、エピソードになりそうなネタいっぱいあるのに!

全体としての感想

作品全体の感想は、綺麗に話が流れていく感じで、滑らかで美味しいプリンを食べているような印象です。読み終わった後の満足感も、うーん良かった、という心地よいものでした。

ただ滑らかすぎて印象が薄い感じがします。

読み終わって何日かしてら感想忘れそうなぐらい。なので読み終わった今、すぐに感想を書き記しているわけです。

読み始めたあたりからラストが見えてしまってました。大きな混乱も乱れもなく、ほぼ予想通り。基本みんないい人で、それなりに素晴らしい人生を送っており、裏や影の部分がない。

読み進める原動力不足の要因は、この滑らかで綺麗にまとまり過ぎていた部分だったのかな、と振り返ってます。

でも

前回の記事でも述べましたが、辞書作りの世界を題材とした点は、とても素晴らしいと思います。

「辞書は言葉の海を渡る舟だ」

いい言葉です。

PS. 装幀が大渡海をもじった感じになっているのも良かったです。

舟を編む (光文社文庫)

舟を編む (光文社文庫)