キャリアコンサルティングの勉強をしていると、いろいろな理論が登場します。
お気に入りはクランボルツという理論家の「ハプンスタンスラーニングセオリー(プランドハプンスタンス)」ってやつで、偶然の出来事が運命の仕事につながるかも知れない、偶然の機会にで会う準備をし、出会った機会から学び、成長していく、そんな理論です。
私の人生を振り返ってみると、この理論が言っていることかなり当てはまるし、今後も同じように自分が成長できる機会に出会っていきたいなと感じています。
それともう一つ、最近お気に入りなのはブリッジズという理論家の「トランジションの理論です。」
トランジションというは一言で言えば「転機」で、就職・転職・定年といった仕事に関するものもあれば、人生のイベント的なもの、結婚・出産・別れなど色々ありますが、その転機を乗り越え方に関する理論です。
転機は「終焉」→「ニュートラルゾーン」→「始まり」のプロセスで進む。
「ニュートラルゾーン」をいかにうまく過ごすかが大事。
何かが終わってしまった後には「空虚・空白」が訪れるが、この空虚・空白を全力で感じ、自分ととことん向き合うことが薦められてます。
今の仕事、すでに30年以上同じ会社に所属していますが、もし仕事を辞めるような場面が来たら、またはそのまま定年を迎えたら、そんな時には自分の人生を振り返り、今後どう生きていくかをゆっくりと考えたいと思っています。
とかないとか書いてると、仕事辞めるの?って思われるかも知れないけど、今んところその気はありません。
で、このニュートラルゾーンの過ごし方に関して、ふと気づいた事がありまして。
村上春樹の作品の主人公は、何か大きな出来事に出会ったあとに、推奨されているニュートラルゾーンの過ごし方をやってるなあということ。
「騎士団長殺し」では、離婚した主人公はプジョーに乗って東北や北海道をひたすら旅していたし。
今回の「街とその不確かな壁」では、壁に囲まれた街に残る決意をしたにも関わらず、現実の世界に戻ってしまった後、家に引きこもっていたし。
その「ニュートラルゾーン」を経て、主人公の運命は再び動き出すような展開になっているのですが、もしかして村上春樹はブリッジズの理論を知っていたのかなとか思ったりしました。
色々な形で隠れ設定がありそうな村上春先の作品。
こんな勝手な考察も楽しみ方の一つですよね。