先日ちらっと触れた河合隼雄さんの本を読んでいます。
読み進むにつれて、示唆に富むところが多く、この本は手元に置いておかねば・・・という気持ちになっています。
この本は講話を集めたもので、「女性」「病」「禅仏教」「日本中世の物語」「芸術」とカウンセリングを絡めた講演内容になっています。
引用したい言葉はたくさんあるのですが、先程読んで示唆を受けた一文を引用します。
人間の悩みというのは不思議なもので、一人で悩んでいると堂々巡りすることが非常に多いのですが、しっかりと誰かに聞いてもらうと解決に向かうことが多い。
話を聞いた人が何かアドバイスをする必要もありませんし、またできないことも多いです。
実際どうしたらよいかわからなくても、じっくり話を聴いてもらうと、だんだん力が出てくるのです。
いわゆる傾聴のことなのですが、
相談に来た人を「この人はこういう悩みを持った、こういう人、だからこういうアドバイスをしよう」と決めつける事は一切せず、ひたすら耳を傾ける。
その大切さが、この一文に込められていると感じました。
ただ誤解しないでほしいのは、実際は聴いているだけではなく、頭の中で色々なことを考え、いかに相談に来た人に、いかに語ってもらうか、どういう関わりをすると内省が進むか、そういったことを常に考えて、素知らぬ顔で話を聞くのです。
私も、その難しさは身に染みてます。
河合隼雄先生はすでに亡くなられているのですが、生のカウンセリングを一度見てみたかったものです。