昨日の続きです。
AmazonのCCCがマイナスになるからくりはどうなっているか。
Amazonも通信販売を行う小売業ですから、商品を仕入れて、仕入れた商品をネットに並べて、売って、代金を回収する。仕入れた商品の支払いサイトを極端に長くすればCCCマイナスは可能とは思いますが、普通にみるとCCCがマイナスになるのは難しくない?と思われます。
で、前述の本の作者 成毛眞さんによると「マーケットプレイス」での取引がCCCマイナスに寄与しているとのことです。
マーケットプレイスとは、Amazonは陳列する場を用意して、そこに商品を並べたい業者がその場を借りて販売し、売れたら代金をいったんAmazonが回収して、その後商品を並べた業者に代金を渡します。この業者への代金までの日数=「仕入債務回転日数」が長い(90日程度らしいです)のがCCCマイナスの原動力ということです。
当然、売上債権回転日数も在庫回転日数も低く抑えられているのが前提ですが、売上は個人向けが多く、購入時に決済するのでお金はすぐに入ってくるし(カード決済だとある程度日数はあるかな?)、マーケットプレイスならAmazonは在庫を持たないのでゼロ、十分低く抑えられますよね。
そういったからくりで、CCCがマイナスになれば、売る前にお金が手元にある状態なわけで、そのお金を研究開発費用や資産運用にも回して有効活用でき、これを実現できれば「勝ち組」と言えるでしょう。
実際、AppleのCCCも1990年後半以降マイナスになってます。時期的にiTunesやAppstoreが貢献しているものと思います。
逆を考えるとマーケットプレイスに出品している業者は「売掛債権回転日数」が長くなるので、CCC的には割りを食っていることとなります。売れてもお金が手元に来るのは90日後ですからねえ。仕組みを作った人には敵わないと言うことですな。
こういったことを理解して世の中を見ていると、同じようなCCC改善のためのあの手この手が溢れているなと感じます。
例えばプリペイドカード。その名前の通りプリ(事前)ペイド(支払済)なわけで、カード発行元の企業は先にお金を入手できます。売掛債権回転日数がマイナスの方に振れることになると思います。
最近話題のバーコード決済の類も、同じように事前にポイント=お金を支払ってポイントを買っておくという面ではプリペイドカードと同じですね。
Tポイントや楽天ポイントなどのポイントサービスも割引した分を「あとで」使わせるという意味でCCC改善につながっていますね。
クラウドファンディングは、元手がもともとない企業なり個人が資金を集めるという名目ですが、まだ商品開発中の段階で、資金を集めて、商品の引き渡しは何ヶ月も長いと年単位で先だったりするので、CCCマイナスの最たるものですね。
AppleミュージックやAmazonプライムビデオなどのサブスクリプションも同じような効果がありますね。お金を先に貰っておけば、あとはユーザーが利用しなくても関係ないですからね。
そう考えると、スポーツジムの月会費も定期券も同じようなものか、と色々と考えたりもします。
製造業だとどうしてもCCCは長めになってしまいますが、アイディアがないではない気もします。ちょっと研究してみよう。