昨日の記事の流れで「日本生産性本部」という組織が作成した「OECD諸国の労働生産性の国際比較2019」を読みました。(読書?)
「Organisation for Economic Co-operation and Development」の略で、簡単にいうと経済的な発展を目指す国々の集まりです。資本主義の国々でそれなりに発展した国が加入してます。(ロシアや中国はまだ加入してない)
G7にも参加している日本としては、この中ではそれなりに高い生産性をマークしていうないと、と思いますが、残念ながらあまり芳しくない結果なようで。
要約を引用させていただくと
1. 日本の時間当たり労働生産性は 46.8 ドルで、OECD 加盟 36 カ国中 21 位。
・OECD データに基づく 2018 年の日本の時間当たり労働生産性(就業 1 時間当たり付加価値) は、46.8 ドル(4,744 円/購買力平価(PPP)換算)。米国(74.7 ドル/7,571 円)の 6 割強の水準 に相当し、順位は OECD 加盟 36 カ国中 21 位だった。名目ベースでみると、前年から 1.5% 上昇したものの、順位に変動はなかった。主要先進 7 カ国でみると、データが取得可能な 1970 年以降、最下位の状況が続いている。
2. 日本の 1 人当たり労働生産性は、81,258 ドル。OECD 加盟 36 カ国中 21 位。
・2018 年の日本の 1 人当たり労働生産性(就業者 1 人当たり付加価値)は、81,258 ドル(824 万 円)。英国(93,482 ドル/948 万円)やカナダ(95,553 ドル/969 万円)といった国をやや下回る 水準。名目ベースでみると 2017 年水準を▲0.2%下回ったが、順位では OECD 加盟 36 カ国 中 21 位で前年と変わらなかった。
3. 日本の製造業の労働生産性は 98,157 ドルで、OECD に加盟する主要 31 カ国中 14 位。
・日本の製造業の労働生産性水準(就業者 1 人当たり付加価値)は、98,157 ドル(1,104 万円/為 替レート換算)。近年は為替レートの影響でドルベースの水準が伸び悩んでいたが、5 年ぶ りに上昇に転じた。日本の水準は、米国の 7 割程度だが、4 年ぶりにドイツを上回った。 順位でみると、OECD に加盟する主要 31 カ国の中で 14 位となっている。
アメリカだと、GAFAに代表される情報通信の巨大カンパニーがあったり、ルクセンブルクやノルウェーは資源で潤っていたり、アイルランドやスイスは国の税制優遇策などからグローバルなエクセレントカンパニーの拠点があったりと、単純に比較ができない面もありますが、
製造業だけの比較でOECDの平均を下回っているのは、「モノづくりを誇りとしている経済大国」という名前に対しては少々恥ずかしいレベルじゃないでしょうか?
日本生産性本部の資料より引用
日本が経済大国でいられるのは、
低い生産性でありながらも労働者が身を粉にして働きまくったお陰と言えるでしょう。
しかしグローバル化がすすみ、さらには情報通信の技術革新で距離の概念がなくなりつつある、今の環境では、労働者はより条件の良い方へ流れます。
高い生産性を叩き出せて働きやすい組織でないと、今以上の成長は望めないと言うこと。
日本の働き方改革を名目だけで終わらせないよう、経営者も労働者も一丸となってとりくむ必要があると思います。
先日の「5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人」に書いてあったポイントを以下に引用します。
サーバーの共有ファイルを作り同僚にアクセスを許す。
仕事を1人で抱え込まない。
自分がオフィスに不在の時のための代理を決める。代理とは休みがダブらないようにする。
社内メールの量を減らす。ccの人数を減らす。
仕事に優先順位をつける。優先巡視の高い仕事から処理する。優先順位が低い仕事は翌日以降に回す。
課題をリストアップし「見える化」する。
リストアップした課題を締め切りまで終えるのが不可能とわかったら、上司に率直に出来ないことを相談し、応援体制をとってもらう。
課題がどの程度の付加価値を会社にもたらすかを課題に取り組む前に考える。付加価値に比べて労力がかかりすぎる場合は上司に相談する。休暇中や帰宅後は会社のメールは読まない。社内会議は長くても1時間。
昼食の時間は出来るだけ短くする。
健康(と自分の時間)を守るために、義理を欠くこともいとわない。
国際学生機関の海外インターンシップ制度を活用しドイツ人の働き方を現地で体験してみる。
「働き方を変えようという空気がウチの組織にはない」という方もいるとは思いますが、自分自身で出来ることから取り組んでいくことが大事だと思います。
古代ローマでは労働は奴隷が行うものでした。
今の世で働かずに生きる事は難しいですが、
「働くことだけが人生ではない」事は意識しておいた方がいいと思います。